注文住宅は、理想の家を自由に描ける一方で、その自由度の高さゆえに決断の連続です。中でも、家づくりの成否を左右する最初の、そして最大の決断が住宅会社選びと言えるでしょう。
しかし、多くの方にとってマイホームは人生で一度の大きなお買い物。初めての経験だけに、選び方のノウハウがありません。
だからこそ、「大きな会社だから安心だと思って」「CMの印象が良い」「知人が建てた家だから」「展示場の雰囲気が良かった」など、何となく流されて依頼先を決め、後悔する例が後を絶たないのです。
なぜ、住宅会社選びが注文住宅の満足度を大きく左右するのか?
その理由を整理して、決め手が曖昧なままの住宅会社選びを防ぎましょう。
【住宅会社選びの成否のカギを握るものは?】
理由➀
住宅会社によって得意分野や個性が異なる
住宅会社によって得意分野や苦手分野、こだわりどころなどはまちまち。知人が気に入って紹介してくれたからといって、自分にもしっくり来るとは限りません。
こだわりや価値観、ライフスタイルとずれた会社を選ぶと、「提案がしっくりこない」「性能はいいけどデザインは…」など不満が残る結果に。
~住宅会社の得意分野例~
・デザイン性が高く設計が得意
・省エネ性能や耐震性能などのスペックにこだわっている
・天然素材や健康的な住まいにこだわっている
・突出した特徴はないものの、デザインも性能も一定基準を網羅している
・性能もデザインもほどほど。価格で訴求している
いろいろなタイプがある住宅会社の強みや弱みをしっかり比較して、ご自身にとってベストなパートナーを選んでいきたいところです。
住宅会社を比較して紹介する専門の会社を利用する方法もあります。
ただし、住宅会社への紹介料を間接的にお客様が負担することになるので、その分、仕様やスペックが削られる可能性があるということを知っておきましょう。
理由➁
担当者の力量や相性が重要なウエイトを占める
住宅会社選びと、会社の窓口である担当者との相性は、切り離しては考えられない問題です。とりわけ、完成までに何度も打ち合わせを行い、様々な決定と調整を重ねていく注文住宅においては、誰に担当してもらうかが家づくりの満足度に大きく影響します。
商談中、以下のようなポイントに該当すれば、要チェックです。
~商談中にチェックしたいポイント~
・コミュニケーション
建築の専門用語がやたらと多い。
一方的でこちらの話を真剣に聞いてくれない。
・回答が曖昧
具体的な数値や根拠が曖昧。(例 耐震に影響する直下率の基準等)
質問に対し、その場で答えられず、後日回答が多い。(例 追加オプションの概算金額など)
提案内容の根拠が浅く曖昧。(例 開口部の位置やサイズの理由など)
・デメリットの話がない
メリットの話だけで、こちらから聞かないとデメリットの話を伝えてこない。(例 吹き抜けのメリット:明るい・解放感 デメリット:上下階の音・光熱費・上部窓やクロス等のメンテナンス)
理由③
施工品質の基準が住宅会社によって変わる
注文住宅を検討する際、多くの方が間取りや外観デザインといった「見える部分」に注目しがちです。これらはもちろん重要ですが、より重視すべきなのは、家が建った後では「見えにくい部分」の品質。住宅の寿命や安全性など、住まいの本質にも関わってくるポイントです。
例えば気密性能に関しては、「全棟気密検査」を実施し、平均の気密数値を具体的に公表している住宅会社が安心です。
また防水部材等の施工手順をまとめた「施工マニュアル(手引書等)」を準備していない住宅会社の場合、協力業者の担当者の解釈や技量に依存しやすくなるため、長期的な耐久性に影響を及ぼすことがあります。
建築現場の施工品質は、「会社の施工体制」「品質チェックの厳格さ」「その住宅会社の建築に対する『想い』や『価値観』」が如実に現れるところです。
建築中の現場見学会を定期的に行っている住宅会社であれば、ぜひ積極的に参加し、どのような視点で現場管理を行っているかチェックしましょう。